「うつ病 克服へのカギ」2026年9月27日放送
うつ病の脳科学と、
rTMS治療を解説
番組で語られた「脳のタイプ」の研究と、
日本で受けられる磁気刺激治療(rTMS)を、
分けてお伝えします
2026年9月27日放送のNHKスペシャルで、うつ病が取り上げられ、「同じうつ病でも、人によって脳の働き方が違う」という最新の研究が紹介されました。このページでは、番組や報道で紹介された内容を整理し、いまの診療でできること、まだ研究段階にとどまることを分けてお伝えします。
同じ「うつ病」でも、反応は人によって違います
同じうつ病と診断されても、症状の出方や、治療への反応は人によって大きく異なります。抗うつ薬がよく効く方もいれば、いくつか試しても十分な改善が得られない方もいます。報道では、うつ病の方のおよそ3割で抗うつ薬が効きにくいとされています。
「効かないのは自分の弱さのせい」ということではありません。治療が合っていない可能性を、一緒に考えていくことが大切です。
研究が示す6つの脳回路
米国スタンフォード大学のリアン・ウィリアムズ教授らの研究チームは、6000人以上のうつ病の方の脳活動を、fMRI(機能的MRI)という検査で調べました。安静にしているときだけでなく、表情の写真を見る、合図に合わせてボタンを押す、といった課題をしているときの脳の動きも測っています。
その結果、思考や感情に重要な次の6つの脳回路が、うつ病と深く関係していることがわかってきました。
- デフォルトモード過去を振り返る、将来を想像する、自分の気持ちを深く考える働き
- 重要度の判定危険や相手の表情に気づき、大事な情報を見分ける働き
- 注意機能話を聞く、文章を読む、作業に集中し続ける働き
- ネガティブ感情悲しみや恐怖に対応する働き
- ポジティブ感情喜びや報酬に反応し、好きなことを楽しむ働き
- 認知機能研究が特に注目衝動を抑える、気持ちを切り替える、間違いを防ぐなど、考えや行動をコントロールする働き
うつ病の方の約9割は、このうちいずれかの回路に障害があることが見えてきた、と報じられています。
「認知機能タイプ」と、抗うつ薬が効きにくい傾向
6つのタイプのうち、研究チームが特に注目しているのが「認知機能タイプ」です。このタイプの方では、論理的に考える力や記憶力が低下し、行動にも困難が生じていることがわかりました。また、標準的な治療である抗うつ薬の効果が見られにくい傾向も確認されたとされています。
そこで探索された治療法のひとつが、次にご紹介するrTMSです。番組では、長年の治療で改善しなかった方が、認知機能タイプと判明したうえでrTMSを受け、脳活動と症状の双方が改善した事例が紹介されました。
rTMS(経頭蓋磁気刺激)とは
rTMSは、頭に磁気コイルを当てて脳に磁気刺激を与え、うつ病で働きが低下している部位(思考や行動をつかさどる前頭前野)の神経細胞を活性化させる治療です。抗うつ薬とは作用の仕組みが異なります。
頭痛や刺激部位の不快感などが起こることがあり、まれにけいれんが報告されています。詳しい副作用や注意点は、治療を受ける医療機関で十分な説明を受けてください。
日本でのrTMS:保険診療の対象と治療の流れ
報道によると、rTMSを保険診療で受けられるのは、成人(18歳以上)で、1剤以上の抗うつ薬で改善がみられない中等度のうつ病の方です。
国内でrTMSを受けた方(1剤以上の抗うつ薬で効果がなかった方)のうち、およそ4割で、うつ症状がほとんど無くなる「寛解」に至ったとする研究が紹介されています。ただし、効果には個人差があり、すべての方に同じ結果が得られるわけではありません。
適応となる病気や治療内容、費用は医療機関によって異なります。なお、当院で行っているrTMSは自費診療です。保険診療の条件にあてはまるかどうかなどは、診察のときにご相談ください。
シータバースト刺激(TBS)とは
rTMSには、刺激のしかたによっていくつかの方法があります。
当院のrTMS(自費診療)
シータバースト刺激による治療を行っています
- 対象:うつ病、強迫性障害、線維筋痛症、慢性疼痛
- 原則として毎回、院長が診察をしてから施術します
- 頭痛や刺激部位の不快感などが起こることがあり、まれにけいれんが報告されています
- fMRIによる「うつ病のタイプ判定」は、当院では行っていません
| 治療(当院では自費診療) | 1回 |
|---|---|
| シータバースト療法(うつ病) | 6,600円 |
| DASHプロトコル保険収載されている刺激法の一つ | 13,200円 |
費用は都度払いで、医療費控除の対象です。検査代、文書作成料、診察費が別にかかる場合があります。
現在の治療でお悩みの方へ
抗うつ薬を試しても十分な改善が得られていない、薬の副作用がつらい、といったお悩みがあれば、受診の際にお聞かせください。いまの治療の見直し方や、次の選択肢について、診察で一緒に考えます。